FP新規①FP(ファイナンシャル・プランナー)とは?資格?職業?簡単に解説

なたはFP(ファイナンシャル・プランナー)という言葉を聞いたことがありますでしょうか?

聞いたことのある人の中では

  • 経済学部の人が受験する『資格』
  • お金を扱う『仕事』

という認識を持っている人が多いと思います。


もちろん、そのような認識で間違ってはいないのですが、『仕事』なのか『資格』なのか、よく分からない人も多いのではないでしょうか。

また、「FPに相談したいけれど、選び方がわからない」人も多く居ると思います。

そこで今回はFPとは何かについて簡単に解説していきたいと思います。

FP(ファイナンシャルプランナー)とは?

FP(ファイナンシャルプランナー)とは?

端的に表現するならばFPはお金の専門家です。

お金の悩みは人によって様々ありますが、それぞれに対して収支等の見通しを立て、最適な解決策を提案するのが主な業務になります。

そのため「家計のホームドクター」とも呼ばれています。

弁護士や行政書士、司法書士などと違い、免許を持っていなくても名乗ることはできます。

しかし先述の通り、クライアントの方の悩みは多岐にわたり、幅広い分野に対応するための知識が必要とされるので、FP資格取得を通して総合的な知識を身に付けることを目指す人も多くいます。

FP(ファイナンシャルプランナー)が持っている知識

FP(ファイナンシャルプランナー)が持っている知識

FPが持っている主な知識としては

  • 年金
  • 保険
  • 資産運用
  • 節税
  • 住宅ローン
  • 相続

などが挙げられます。

他にもありますが、FPに必要とされる知識を簡潔に説明するならば、以上のようなものが代表的でしょう。

順番に解説していきます。

1.ライフプランニング

FPのメインの業務として、ライフプランニングがあります。
では、ライフプランニングとは一体何でしょうか?

『ライフプランニング』を簡潔に説明すると、クライアントの生涯における生活設計をすることです。

ライフプランニングをする上でまず重要となるのが、結婚や出産、転職などといった人生において節目となる大きなイベントの予定を一覧にし、それにかかる費用等を計算することです。

このような一覧表を『ライフイベント表』、お金の流れに注視した表を『キャッシュフロー表』と呼び、ライフプランニングをする上でまず最初に作成するものとなります。

クライアントの経済面でのニーズや優先する事項の可視化が目的であり、上記を作成することでライフステージにおける大きなお金の動きを把握することができます。

2.タックスプランニング

タックスプランニングは税務戦略とも呼ばれ、今後支払う必要のある税金に関する長期的な計画を立てることであり、ライフプランニングをする上で必須になります。

ライフプランニングという大枠の中にタックスプランニングが入っているイメージですね。

また、タックスプランニングを行うFPには税金や金融情報についての深い知識が必要とされるだけでなく、聞き手としてクライアントに対するヒアリングスキルや、ヒアリングを行った上で個々の問題を解決する方法を考え出す能力も求められます。

つまりお金周りの知識はマストであり、課題解決能力があるFPが「良いFP」です。

3.リスクと保険

「リスクと保険」というと聞き慣れませんが、保険のことです。
つまり生命保険や損害保険などですね。

FPにはリスクマネジメント、つまり保険制度全般(生命保険・損害保険・第三分野の保険)に関する知識も必要とされていて、資格試験の問題としても頻出分野になります。

万が一に備えるのは大切です。
しかしあらゆる保険に入ってしまうと固定費が膨らみ、日々の生活運営が困難になります。

これだと本末転倒ですよね。

ですので専門家の力を借りて、ほんとうに必要な商品だけを選びましょう。

クライアントの生活をプランニングするのがFPの仕事ですが、リスク管理のバランスが悪いとプラン通りの生活が難しくなります。

4.金融資産運用設計

株や投資信託、債権などの金融商品に関する運用の設計をいいます。

FPのスキル感については、諸国の経済指標や金融政策はもちろん、各種金融商品の税制や税制優遇制度などについての知識が必要となります。

そのためFPは常日頃から日本だけでなく各国の金融対策や経済金融の動き、各種マーケットの動向をリアルタイムで把握しておかなければなりません。

特に最近の動向として、投資家保護を問われる問題が多く発生するので、金融う商品取引方や犯罪収益移転防止法などについても法律や制度の刷新の動向に気を配る必要があります。

個人であれば節税効果のある制度や分散投資を意識しますが、FPからは法律面やマーケットの動きなど、より専門的な知識を共有してもらえます。

運用設計の内訳としては

  • 貯蓄計画
  • 投資対策
  • 税金対策
  • 経営上の問題解決

の4つに分けられ、まず最初にクライアントの人生における目標、いわゆるライフプランを実現するための財政的な目標を設定します。
これを『ファイナンシャル・ゴール』と呼びます。

FPはそのファイナンシャル・ゴールをクライアントが達成するための資金運用や借入、積立などの資金計画を立てるなどの援助を担当します。

設計の流れとしては、上から順番に

  • クライアントの経済状況やファイナンシャル・ゴールの把握
  • 金融・経済の動向の把握や金利、マーケットの見通し
  • 資産運用の形態の決定

となっています。

5.不動産運用設計

こちらは、いわゆる不動産投資です。
家賃収入(インカムゲイン)を得たり、売却して利益を得る(キャピタルゲイン)のが不動産運用の目的になります。

リスクとリターンが大きい項目になりますので、独学で行うのはかなりハードルが高いでしょう。

不動産運用設計においては、不動産の売買や賃貸借に関する知識に基づいた助言が必要とされることはもちろんですが、そういった知識を応用して実際に問題を解決する能力が求められます。

また、こちらも金融資産運用設計と同じく、実際に発生する問題等の解決のために法令の改正等の最新の動向を常に追い続け、知識をアップデートし続けることがFPには求められます。

6.相続・事業承継設計

こちらも耳が痛くなるようなワードですが、相続や贈与に関するルールのことです。

相続・事業承継設計はこれまでの分野よりも更に多岐にわたる様々かつ複雑なケースが発生することが多く、実際に相続が発生した時にも想定外の事態が発生することも多いので、全般的な知識が必要とされる業務になっています。

相続財産の評価や相続税・贈与税に関する仕組みを理解しておくことはもちろんですが、民法という頻繁に細かく改正される法律への深い知見を必要とされる分野であるので、こちらもまた知識のアップデートや法改正の動向確認が特に必須とされる分野です。

FP(ファイナンシャルプランナー)は資格?職業?

FP(ファイナンシャルプランナー)は資格?職業?

ここまでFPの業務内容についてお話ししてきましたが、FPとは資格のことなのでしょうか?
それとも職業のことを指すのでしょうか?

答えは「どちらも正解」であり、FP試験(ファイナンシャル技能検定)というものはファイナンシャル・プランナーとしての能力や知識を担保するもので、業務を行う上で必須ではありません。

つまり「今日から私はFPです!」と言ってしまっても合法ということ。

一方で職業としてのFPは、ここまでお話ししてきた業務を中心として活動する職業のことです。

資格としてのFP(ファイナンシャルプランナー)

まず一般的に「FP試験」と呼ばれるものの正式名称は「ファイナンシャル・プランニング技能検定」で、3級から1級まで存在します。

3級には特に必要な受験資格等はありませんが、2級以降は「3級合格」や「CFP(サーティファイド・ファイナンシャル・プランナー)資格審査試験の合格者」などが受験に必要となっています。

また、2級以上に合格し一定の条件を満たせば、AFP(アフィリエイテッド・ファイナンシャル・プランナー)やCFP(サーティファイド・ファイナンシャル・プランナー)の取得資格を得ることができます。

AFPとは

AFPとは、2年ごとに更新が必要な資格で、常に知識とスキルの向上をしていることの証明にもなるので、FP技能検定よりも信頼性の高い資格とされています。日本では約16万人のAFPが活躍しています。

CFPとは

CFPは世界25カ国で認められている、いわば「世界基準」のファイナンシャル・プランニング・サービスを提供できることを証明する資格です。

こちらもAFPと同じく、2年ごとに更新が必要なので、最新かつ最高レベルのファイナンシャル・プランニングスキルを信頼性が非常に高い資格です。国内では約2.3万人のCFP取得者がいます。

職業としてのFP(ファイナンシャルプランナー)

さて、ここまでFPの業務内容と資格の種類についてお話してきましたが、ここからは職業としてのFPについてのお話しです。
FPとひとくちに言ってもその雇用形態や業務内容は様々です。

企業内FP

企業内FPとは、企業内で知識を活かして業務を行うFPです。
つまり会社員のファイナンシャルプランナー。

例えば不動産業界においては自社の商品を販売する際には、その知識を活かして住宅ローンや税金などの住宅関係の支出や、出産費用や教育費、老後の生活費など、各ライフステージにおける大きな収支を踏まえた上での提案・相談・アドバイスを行うことができます。

その結果、お客様により質の高いサービスを提供できるでしょう。

金融・保険業界勤務

こちらは金融業界で働く正社員FPのこと。

金融や保険業界ではFPの知識を持っていることは現在ではほぼ必須となっており、FP2級以上や、AFP資格を保持していることが応募条件となっている企業も多くあります。

それほど金融や保険業界の業務とFPの知識は密接に関係しています。

金融系企業においては、自社の商品を提供する際にライフプランニングや資金計画のアドバイスをすることができる上に、信頼性や提案力を担保する「資格」でもあるので、昇級や昇進の条件としてFP資格を必要とする企業も多くあります。

また、銀行でも取引先に対し

  • 相続対策
  • 事業継承
  • ライフプランニング
  • 資産運用

などの、幅広いコンサルティングや提案を行うことでFPのスキルを活かすことができます。

独立系FP

文字通り、FPとして起業し働いている人をいいます。

しかし、実際は「自分で全ての仕事を取ってくる人」とは限りません。

例えば、保険ショップ等で「FPに相談できる」という看板を見たことがありますでしょうか?

こういった企業で業務を行うFPは、いわゆる委託での業務を行うフリーのFPであることが多いです。

また、ほとんどの独立系FPは本業に加えてこのような保険代理店と提携して業務を行うパターンが多く、資産運用等の相談のみで生活しているFPは日本に数%しか居ないとされています。

正直、FP(ファイナンシャルプランナー)って信用できる?

正直、FP(ファイナンシャルプランナー)って信用できる?

ここまで書いてきましたが、多くの人が気になっていることの一つに「結局、FPって信頼できるの?」があると思います。

簡潔に結論を述べるならば「信頼できる人も、できない人も居る」です。

以下にFPを探す上で、信頼できるか否かの判断基準を記します。

実は、「FP資格を持っている」だけでは確実な良いFPの基準とは言えません。
日本FP協会が公表するデータによると、FP技能検定の合格者は日本に18万人も居ます。


その中には

  • 「自社の商品を売ることだけが目的」
  • 「クライアントと仲良くなり、情報商材を売ることや講演会に呼ぶことが目的」

といった、真摯に向き合ってくれないFPも居ますし、FP技能検定が更新の必要のないことに胡座をかき、知識のアップデートを行わないFPも居ます。

このようなFPに担当されてしまっては、適切なアドバイスを受けることはおろか、ただ高いだけの商品を買わされることになってしまうかもしれません。

このような、いわゆる「ハズレFP」に当たらないようにはどうすれば良いのでしょうか。

日本FP協会の検索機能を使う

日本FP協会は「CFP認定者検索システム」という機能を導入しており、CFPに限定された検索にはなってしまうのですが、相談したい分野・地域・CFP認定者の年齢や性別まで様々な条件を指定して検索することができます。

また、公式サイトであるという信頼性の高さも魅力の一つですね。

AFPやCFPに絞る

公式サイト以外にも、FPの企業や個人HPなどでもFPを探すことができますが、無数のサイトが検索結果に上がってきますし、一目で信頼できるか否かを判断するのは難しいでしょう。

AFPやCFPは2年ごとに資格の更新が必要なので、新しい知識を常に取り入れ、学習を行っているので業務に対する意欲も強く、間違った情報を詠じしてくる可能性もかなり低いです。

FP(ファイナンシャルプランナー)に相談できる内容

FP(ファイナンシャルプランナー)に相談できる内容

FPに相談できる内容は、主に「お金に関することならなんでもOK」とされています。

年金なら

  • 「将来もらえる公的年金の具体的な金額はいくらなのか」
  • 「それを踏まえた上で、退職までにいくら貯金しておく必要があるのか」


資産運用ならば

  • 「貯蓄に適している金融商品は何なのか」
  • 「複数の金融商品を運用する際、配分はどうするのが最適なのか」


保険ならば

  • 「保険の内容や金額の負担が大きいので見直したい」
  • 「自分の収入や家族の構成に合った保険とは何なのか」

などです。

しかし、これは他のどのような職業にも当てはまることではありますが、FPは弁護士、税理士や司法書士などが手がける「専門領域」には踏み込むことができません。

例えば、「税金対策をした結果、具体的にいくら税金を払う必要があるのか」などは税理士の独占業務なので、FPが説明することはできません。

FP(ファイナンシャルプランナー)に相談できるメリット・デメリット

FP(ファイナンシャルプランナー)に相談できるメリット・デメリット

ここまではFPに相談できる内容や、FPの探し方についてお話してきましたが、FPに相談するメリットやデメリットについても言及していきます。

FPに相談するメリット

まずはFPに相談するメリットから見ていきましょう。

自分に沿ったライフプランの作成が可能

シミュレーションなどでは簡単な質問しかされず、具体的な自分のライフプランを作成することができませんが、FPに相談することによって自分だけのライフプランを作成することができます。

また独自でライフプランを設計しても非現実的な仕上がりになってしまいますが、FPと一緒に設計をすることで実現可能な計画が立てられます。

お金の不安を解消できる

具体的に将来のそれぞれのライフステージでかかる費用が具体的に可視化されることによって計画的な資金繰りができるようになるだけでなく、見通しが立つことによって「いくら貯金すればいいのか分からない」といった不安を解消することができます。

自分で収入と支出を完璧に把握し計画的に生活するのは簡単なようで難しいです。

デメリット

後悔しないためにFPに相談するデメリットについても、しっかり抑えておきたいところです。

相談料がかかる

当たり前と言ってしまえばそれまでですが、相談料がかかります。

FPの相談料の相場は1時間あたり1万円ほどとなっていますが、CFP資格保有者の相談料はやや高く、実績のある人だと1時間あたり2万円以上かかる場合もあります。

また、0円で相談できるFPも居ますがリスクがあります。

多くの場合が情報商材販売目的や金融や保険などの企業に属しているFP、または自社製品販売が目的の場合が多く、クライアントに沿ったものではなくのが現状でしょう。

企業の利益目的の提案をされる場合が多いので、有料のFPを利用することをお勧めします。

FPと合わない場合がある

FPも人ですので、そもそも性格が合わない場合もあります。

もちろん有料のFPならば相性が良かろうが悪かろうが料金は取られます。
FP選びで失敗しないためにも相談内容とFPの得意分野の一致相談実績の多さを基準にFPを探しましょう。

FPに相談すると料金はどれくらいかかる?

FPに相談すると料金はどれくらいかかる?

FPに相談することのメリットやデメリット、相場感ついて説明しましたが、少し補足をしておきます。

FP相談におけるライフプランニングは1回目にクライアントの対するヒアリングを行い、2回目に結果を見る場合が多いです。

また、1回あたりの時間は様々ですが、だいたい1時間半が平均ですので、1時間1万円と考えると、一度のライフプラン作成→検証にかかる費用は5万円ほどと考えれば良いでしょう。

決して安くはない料金なのですが、プロに相談することで支出を最小限に抑えられるのは間違いありません。

例えば、なんとなく物件を購入するなど、大きなライフイベントを1人でこなしてしまうと数千万円単位での損失が出てしまうケースもあります。

このように考えるとFPへの相談料は適切な投資といえるでしょう。

FPとは?のまとめ

FPとは?のまとめ

ここまでFPの業務内容や資格の種類、働き方や料金体系について様々な解説をしてきました。

資格の種類も多く、業務内容も多岐にわたることが分かったかと思います。

なかなか適切なFPを見つけることは難しいかもしれませんが、先述したような検索方法やFPの選び方を活用して、あなたに合ったFPをぜひ見つけてみてください。